防災の知恵

日本郵便『防災ゆうストレージ』とは? ミニマリストが利用シーンを考えてみた

筆者をはじめとするミニマリストは「必要なものを残して、シンプルに暮らす」をモットーにしているもの。ただ、防災グッズについて考え始めると、なかなか極限までシンプルにできないのが現実…

そんなことを考えているとき、気になるサービスを見つけました。

日本郵便が始めた防災ゆうストレージです。このサービス、実はミニマリストの私たちにとって、意外な味方になるかもしれません。

さっそく、その理由を一緒に見ていきましょう。

日本郵便「防災ゆうストレージ」とは

防災ゆうストレージの基本情報を解説します。

「防災ゆうストレージ」の基本情報

防災ゆうストレージ

「防災ゆうストレージ」は、日本郵便と寺田倉庫が共同で提供している保管サービスです。名前のとおり防災に特化した物品保管のしくみで、月額275円(税込)のお手頃な料金設定が特徴。

専用の保管ボックスに、大切な思い出の品や非常用品を詰めて預けられます。

ボックスの保管場所には地盤の強い地域が採用されており、詰めたグッズが災害により使えなくなるリスクも最小限。

寺田倉庫が長年培ってきた収蔵・保管のノウハウを活かした、安心の環境が整えられています。

「防災ゆうストレージ」ならではの特徴

「防災ゆうストレージ」の最大の特徴は、災害時に荷物を避難先まで届けてもらえるところ。

たとえば、自宅が被災して避難所や親戚宅に身を寄せることになっても、保管している荷物を避難先まで配送してもらえます。

事前に、いざという時の安心を手に入れられる画期的なサービスです。

防災ゆうストレージに入れるべきものとは?

いざというときに荷物を届けてくれる災害ゆうストレージですが、災害直後で交通規制がなされ発送に時間がかかる場合があります。公式でも「お取り出し手続き日の3営業日までに倉庫から発送」となっていており、ある程度のタイムラグがあります。

つまり保管するものは、すぐは必要ないけど後々大事になってくるものです。

防災ゆうストレージに向いているもの・向かないもの

以下に、防災ゆうストレージに向いている荷物とそうでない荷物をまとめました。

防災ゆうストレージに向いている荷物防災ゆうストレージに向かない荷物

日用品(綿棒、爪切り、コットン、コンタクト洗浄剤など)
写真や手紙などの思い出の品
おもちゃ
コレクション品(カード、フィギュア、ポスターなど)
<災害直後に必要なもの全般>

毛布
ラジカセ
充電器
衛生品(生理用品、歯ブラシなど)
赤ちゃん用品(おむつ、ミルクなど)

防災ゆうストレージに向かないものとは、つまり災害直後に必要なものです。すぐに使いたいものは防災グッズとしてかばんにまとめておき、災害時にさっと持ち出すのがコツです。

東日本大震災ではたくさんの思い出が流されてしまった

2011年3月に起きた東日本大震災では、津波によってたくさんの思い出が流されてしまいました。津波の到来まで一刻を争うような状況では、荷物の確認などはできません。実際、家が心配で無事な場所から戻ってしまい、命を落とした方もいます。

命の無事が確認できてから直面するのは、流されてしまったものへの後悔です。家族の思い出を収めたアルバムや思い出の品などは、もとに戻せません。

命が一番大事だからこそ、大切なものの心配をしなくていいような準備が求められます。

ミニマリストが防災ゆうストレージ使い道を考えてみた

ここからは、ものを最小限にして生きるミニマリストの視点から、防災ゆうストレージの具体的な利用シーンを考えてみます。

1. 思い出を守る

写真アルバム、手紙、子どもの作品など、一度失ったら二度と戻らないものを保管。

必要なときに配送してもらえる安心感を得られます。

2. 非常用品を分散して保管

自宅避難向けの非常食や水、備蓄品を分散させておくのもGOOD。「家が狭くて防災用品を十分に置けない」「防災グッズを充実させたい人」に便利。

3. 災害時の身軽さを重視

災害時、真っ先に逃げられるように持ち出し品を最小限にしたい人にも◎。預けたものは避難先に届けてもらえるので「あれ入れたっけ」「なかったら困る」という心の負担が軽減されます。

4. 離れた家族のために使う

離れて暮らす親や子どもが避難しやすいように、備蓄品や必要なものを預けておくのもありです。とくに、災害用品の準備が難しいお年寄りは、保管サービスとの相性が抜群です。

5. 法人や団体の活用

個人にとどまらず、会社や施設が非常用品を保管する使い方もあり。社員や地域住民へ支給する支援物資を保管しておけば、地域貢献活動になります

防災ゆうストレージの注意点

防災ゆうストレージを利用するうえで、いくつかの注意点を理解しましょう。

災害直後はすぐに届かない

荷物のお届け日について、公式は「お取り出し手続き日の3営業日までに、倉庫から発送」としているものの、交通の混乱などで配送に遅れが出る可能性があります。

実際の災害で、ゆうパックの引き受けを再開したタイミングは熊本地震で発生から5日後、東日本大震災で9日後です。

預けておくものは、あくまでも「すぐには必要ないが大切なもの」と決めておきましょう。

取り出しにはインターネット環境が必要

預けた荷物の取り出しはホームページから行うため、インターネット環境が必要です。災害時は通信が混雑するため、すぐにネットを使用できるとは限りません。

インターネット環境が整うまでの期間を考慮しつつ、預ける荷物を選定しましょう。

ミニマリストこそ防災ゆうストレージを使うべき

ミニマリストには、ものを減らすだけでなく本当に大切な品を見極める価値観があります。防災ゆうストレージは、そんなミニマリストが持つ本当に大切なものを預けるのに最適です。

効率的に防災を考えるためのツールとして、防災ゆうストレージを使ってみるのがおすすめです。